甘酒は日本で生まれた日本固有のドリンク。
長い日本の歴史の中で、人々により伝えられ、広められていきました。
こちらでは、そんな甘酒の歴史に触れてみたいと思います。
始まりは古墳時代

甘酒の歴史はとても古く、古墳時代にさかのぼります。
日本書紀に、木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)が作った「天甜酒(あまのたむさけ)」の記述があり、それが甘酒の起源と言われています。
その後も平安時代頃までは貴族の飲み物として伝えられ、室町時代あたりから庶民にも広まり、親しまれていました。
甘酒売りが大流行

江戸時代になると、甘酒売りが天秤棒を担いで一杯いくらと売るスタイルが広がり、庶民もより手軽に手にいれることができる様になっていきました。
今のように飽食でもなく、エアコンや扇風機もなかった時代に夏の猛暑を乗り越えるのは随分と大変なことだったと言います。
そんな中、栄養豊富な甘酒は「飲む点滴」のような役割で庶民の間で流行したと言われています。政府も、甘酒が少しでも多くの人に行き渡るように、価格が高騰しないように制限していたそうです。
喉の神様?甘酒地蔵
明治時代のお話。東京の日輪寺の境内には「咳の病」に良いとされる小さなお地蔵様が祀られています。
昔々、身内に先立たれた上、重い喘息に悩まされたある老女が自宅の前で甘酒屋を始めました。その老女は、「自分が死んだら、咳に苦しむ人々を助けてみせる」と言い続けました。
老女が亡くなった後、老女の家の前の木に甘酒の瓶を吊るしてお祈りをすると、不思議なことに喉の病が治ったという人が現れだしたのだとか。
その後、日輪寺の住職さんは老婆の石像を掘って境内に安置したところ、ますます喉の治癒を願うものの信仰が盛んになったそうです。この信仰は戦前までだったそうですが、甘酒地蔵は今でも境内にひっそりの祀られています。
変わることなく愛され続けている甘酒

古墳時代から現代に至るまで、長い間人々の健康を支え続けてきた甘酒。夏の名物でありましたが、温めても美味しくいただけてホカホカと体を温めてくれる甘酒は、だんだんとお正月やひな祭りなどでも定番になっていき、活躍の幅を広げています。